歯周病の外科治療とは?対象となる症状や治療の流れ、注意点
2025.10.18
こんにちは。松山市小栗の歯医者「小栗歯科」です。
歯周病は、歯を支える組織に炎症が起こる病気で、進行すると歯を失う可能性もある深刻な問題です。初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行していることが珍しくありません。
重度になると、通常のブラッシングやスケーリングだけでは改善が難しく、外科的な治療が必要になるケースもあります。「歯周病の外科治療ってどんなもの?」「どんな時に必要になるの?」といった疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、歯周病の基本から外科的治療の内容、治療が必要な状況、具体的な流れ、治療後の注意点まで詳しく解説します。
歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯ぐきや歯槽骨(歯を支える骨)などの組織に炎症が起こる病気のことです。細菌のかたまりであるプラークが歯と歯ぐきの境目にたまり、歯ぐきが炎症を起こす歯肉炎からスタートします。
放置していると歯周炎へと進行し、やがて歯を支える骨が溶け、歯がグラグラとし始めます。初期にはほとんど自覚症状がなく、気がついたときには進行していることが非常に多い病気ですが、最終的には歯の喪失につながる恐れがあります。
歯周病の外科治療とは
歯周病が重度に進行した場合、通常の歯周病治療だけでは症状の改善が見込めないことがあります。そうしたケースで選択肢となるのが、歯周病の外科治療です。
外科治療の目的と効果
外科治療の目的は、歯周病によって失われた歯周組織の修復や再生を図ることです。プラークコントロールが困難な歯周ポケットの深さを改善したり、失われた歯槽骨や歯肉などを再生したりします。
歯周病が進行すると最終的には歯を失う可能性もあります。
しかし、歯周病の外科治療で歯周組織の状態を安定させられれば、ご自身の歯を残せるかもしれません。歯を失っても補うための治療法はありますが、ご自身の歯よりも快適に使えるものはないでしょう。
天然の歯を長く使うために、外科治療が必要なこともあるのです。
外科治療が必要となる主なケース
歯周病の外科治療が必要と判断されるケースには、歯周ポケットが非常に深くなっており、スケーリングだけでは汚れを完全に除去できない場合が挙げられます。歯槽骨や歯肉が大きく失われている場合や、歯の動揺が強く基本的な治療では改善が見込めない場合なども該当します。
歯周病の外科治療の流れ
歯周病の外科治療は、検査から術後管理まで段階的に進みます。歯周病の進行度や患者さまの口腔内環境によって流れは異なる場合がありますが、基本的な治療の流れを確認しておきましょう。
カウンセリングと診察
はじめにカウンセリングを行い、患者さまの歯周組織の状態を確認します。患者様が不安に思っていることや、疑問などがあれば、この機会に質問しましょう。
検査と診断
歯周病の進行度を正確に把握するために、精密な検査が行われます。歯周ポケットの深さの測定、レントゲンによる歯周骨の状態の確認、歯周組織の炎症の程度の評価などを行います。
検査の結果をもとに、治療方針を決定します。
外科処置
手術当日は、局所麻酔を施した後に外科処置が行われます。フラップ手術では歯茎を切開し、根部分の歯石や感染組織の徹底的除去が行われます。必要に応じて骨再生療法などの併用があり、ケースに応じた技術が選ばれます。
手術時間は1〜2時間程度が一般的で、患者さまの負担と回復を考慮して進められます。
縫合
手術が完了したら、切開した歯肉を縫合します。縫合の方法も症例に応じて選択されます。
歯肉の回復を促進し、感染のリスクを最小限に抑えるため、縫合は細心の注意を払って行われます。使用する糸の種類によっては、1〜2週間後に抜糸を行います。
治療後の管理
治療が終了したあとも継続的な管理が必要です。定期的なメンテナンスや再評価を通じて、歯周病の再発を防ぎます。自宅での適切な口腔ケアを継続することも、治療効果を維持するために不可欠です。
歯周病の外科治療のメリット
歯周病の治療は、基本的に歯科衛生士による歯のクリーニングとブラッシング指導が中心です。程度の軽い症状であれば、通常の歯科治療で改善を見込めるでしょう。
しかし、歯周ポケットが深くなったり歯茎が下がったりしている場合は、歯や歯茎に外科的な処置が必要になることもあります。ここでは、外科治療のメリットを見ていきましょう。
歯周ポケットの汚れを除去できる
歯周病が進行すると、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができます。この隙間にプラークや歯石などの汚れが溜まると、歯周病菌が繁殖しやすくなり、炎症が悪化しやすくなります。
外科治療によって歯周ポケットの深層部分にある汚れを除去し、歯周ポケットの深さを改善できれば、炎症の改善につながります。
歯周組織の再生が期待できる
外科治療の一部では、歯周組織の再生を目指した治療も行われています。特定の部位に再生促進剤を使用することで、失われた歯槽骨や歯肉の再構築を図れます。
例えば、GTR法と呼ばれる手法では、特殊な膜を用いて歯周組織の再生を促進します。歯をしっかり支える土台が回復するため、歯の寿命を延ばせるでしょう。
歯周病の外科治療のデメリット
歯周病の外科治療には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。以下では、歯周病の外科治療のデメリットについて解説します。
手術に伴う身体的負担がある
外科治療は、局所麻酔や手術といった身体的な負担を伴います。特に、高齢者や全身疾患を持つ方の場合はリスク管理をしっかりする必要があります。事前に詳細に検査をすること、かかりつけ医と連携することが欠かせません。
治療費が高額になりやすい
歯周病の外科治療は保険適用でも受けられますが、それでも基本的な治療よりは高額になりやすいです。また、より効果的に歯周組織を回復するために自由診療を選択した場合は、治療費の全額を自己負担しなければなりません。
歯周病の外科治療を受けられない人
歯周病が進行し、外科治療が必要な状態にまで症状が悪化していても、全ての方が治療を受けられるわけではありません。体調や持病、年齢などによっては外科治療がリスクを伴う場合があり、治療が推奨されないケースもあります。
持病がある方
心臓疾患や糖尿病などの全身疾患をお持ちの方で、症状が悪化している場合やコントロールが不十分な場合は、歯周病の外科治療を受けられない可能性があります。また、血液をサラサラにするお薬を服用している場合も注意が必要です。
妊娠中の方
妊娠中の女性は体調が変化しやすく、時期によっては麻酔なども使用できないことがあります。そのため、可能な限りスケーリングやポケットの清掃などの非外科的な治療を優先します。
妊娠週数や母体・胎児の状態を考慮しながら、慎重に治療を検討する必要があります。
高齢の方
高齢の方、特に持病がある方は、外科治療によるリスクが増大するため、外科治療は実施しないことがあります。手術では歯茎を切開するので、その回復に時間がかかると判断される場合や、手術自体のリスクが大きいと判断される場合があるのです。
まとめ
歯周病は静かに進行する病気であり、初期段階では気づきにくいですが、放置すると歯を失う原因になります。通常の治療では改善が見込めない場合、歯周病の外科治療が選択肢となります。
外科治療には、歯周ポケットの清掃や歯周組織の再生を図る効果があり、歯の寿命を延ばすメリットがあります。
歯周病の外科治療を検討されている方は、松山市小栗の歯医者「小栗歯科」にお気軽にご相談ください。
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