口育とは?何歳から始める?具体的な内容とメリット・注意点など

こんにちは。松山市小栗の歯医者「小栗歯科」です。

赤ちゃんのほっぺを愛おしそうに指で触れる母親

口育は、子どもの健やかな成長のために近年注目されている取り組みです。口の機能を正しく育てることは、単に歯並びをきれいにするだけでなく、呼吸や姿勢、全身の健康にも深く関わっています。

「何をしたらいいの?」「何歳から始めればいいの?」と疑問に思う保護者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、口育とはどのようなものなのか解説します。お子さまの成長発達をサポートしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

口育とは

眼鏡をかけ指をさす子ども

口育(こういく)とは、口の機能を正しく育てることです。正しい呼吸や咀嚼、嚥下などの口腔機能の発達をサポートし、健やかな成長を促すことを目指します。

現代は、やわらかい食事や口呼吸などにより、口の機能が十分に発達していないケースが少なくありません。口の機能が未発達の場合、歯並びや噛み合わせの問題だけでなく、姿勢の悪化や集中力の低下、睡眠の質の低下など、全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、口の機能を正しく育てることでお口や全身のトラブルを予防し、子どもの健やかな成長をサポートするのです。

口育は、新生児や幼少期など、早ければ早いほど効果的ですが、何歳からでも始められます。「もう遅いかもしれない」と諦めずに、まずは相談してみましょう。

口育の目的

目的と英語で書かれたブロック

口育は、以下のような目的で行われます。

噛む力や飲み込む力、発音する力を身につける

口育の大きな目的は、鼻呼吸や適切な咀嚼・嚥下機能など、口本来の機能を正しく発達させることです。食べ物をよく噛んで飲み込むことで、栄養素を十分に吸収できるようになります。

また、正しい舌の位置や口周りの筋肉の使い方を身につけると、発音がしやすくなり、言語発達にも良い影響を与えます。

顎の成長を促進させる

よく噛んで顎の骨に刺激を送り、成長を促すのも口育の目的です。顎が十分に発達すると、永久歯が並ぶスペースが確保され、歯がきれいに並びやすくなります。

全身の健康に良い影響を与える

口育は、お口の健康だけでなく、全身の健康維持にも重要です。口腔機能が発達せず呼吸や嚥下などに問題があると、免疫力が弱くなって体調を崩しやすくなったり、睡眠不足になったりするおそれがあるのです。

正しい呼吸や咀嚼が行えると、姿勢や睡眠の質、集中力や免疫力など、全身の健康にも良い影響が考えられます。

口育の内容

舌のトレーニングをする子ども

ここからは、口育の内容について解説します。

正しい呼吸を習慣づける

口腔内が乾燥しやすくなったり、細菌やウイルスが入り込みやすくなったりなど、口呼吸によるデメリットは少なくありません。虫歯や歯周病になるリスクを高めるほか、顎の発達にも悪影響を及ぼします。

日中に口が開いていないか観察し、開いている場合は優しく閉じるよう促しましょう。鼻詰まりや鼻炎がある場合は、耳鼻咽喉科の医師に相談することも検討してください。

舌のトレーニングを行う

舌の正しい位置は、舌先が上の前歯のすぐ裏に軽く触れ、舌全体が上顎に密着している状態です。舌の位置が低いと、歯並びや顎の発達に悪影響を及ぼす場合があります。

正しい舌の位置を習慣化するためには、普段から意識するほか、舌を上顎につける練習や、舌を動かす体操などが効果的です。トレーニングを行うことで、舌の筋肉を鍛え、正しい位置に保てるようになるでしょう。

よく噛んで食べる

よく噛んで食べることは、顎の発達や唾液の分泌において重要です。一口30回以上噛むことを目標に、ゆっくりと食事をする習慣をつけましょう。

食事内容は、やわらかいものばかりではなく、適度な硬さのある食材を取り入れることが大切です。野菜スティックやするめ、煮干しなど、噛みごたえのある食品を日常的に取り入れましょう。

食材の硬さや大きさを工夫し、噛む回数が自然と増えるように食事内容も考えてみましょう。

お口周りのトレーニングを行う

MFT(口腔筋機能療法)と呼ばれる、お口周りの筋力トレーニングも、口育のひとつです。MFTは、食べ物を噛んだり飲み込んだり、発音したりするお口周りの筋肉を鍛え、正しく動作を行えるようにします。

口をしっかり閉じられるようになり、鼻呼吸がしやすくなるのもMFTで期待できる効果です。

口育のメリット

口育のメリットのイメージ

口育を実践することで、以下のようなメリットが期待できます。

歯並びや噛み合わせが整いやすくなる

正しい口腔機能が身につくと、顎の骨や筋肉の成長が促され、歯並びや噛み合わせの問題を予防することにつながります。将来的に矯正治療が必要になるリスクを低減できます。

姿勢や顔全体のバランスが改善しやすくなる

正しい呼吸や舌の位置が身につくと、自然と姿勢も改善され、集中力の向上や疲れにくい体づくりにつながります。また、顎が適切に発達することで、顔全体のバランスが整いやすくなるのも口育のメリットです。

虫歯や歯周病のリスクを下げられる

口呼吸は、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすくなるため、虫歯や歯周病になりやすくなる悪習慣です。口育によって鼻呼吸が習慣化すると、唾液による自浄作用が働きやすくなります。食べ物をよく噛むことでも唾液の分泌が促進され、虫歯や歯周病のリスクが低減します。

また、顎の発達を促すことで歯並びが乱れにくくなるのも、お口のトラブル予防のひとつです。歯並びが良いと歯磨きがしやすくなるため、将来的にも虫歯や歯周病などを防ぐことにつながります。

全身の健康促進につながる

口呼吸は、細菌やウイルスが侵入しやすい状態です。さらに、口腔内の乾燥によって細菌が繁殖しやすくなるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

一方で、鼻呼吸は細菌やウイルスを体内に侵入させないフィルターの役割を担っています。口育によって鼻呼吸が身につくと、空気が適切に浄化・加湿されて体内に取り込まれるため、感染症にかかるリスクを下げられるのです。

また、正しい舌の位置や鼻呼吸が習慣になると、睡眠時無呼吸症候群やいびきを起こしにくくなります。睡眠の質が良くなると、日中の活動量が増えたり成長ホルモンが適切に分泌されたりして、身体の発達に良い影響を与えるでしょう。

口育のデメリット

口育のデメリットのイメージ

口育には多くのメリットがありますが、注意すべきこともあります。ここでは、口育のデメリットについて解説します。

効果が出るまで時間がかかる

口育は、日々の積み重ねによって効果が期待できる取り組みです。すぐに目に見える変化が現れるわけではないため、途中でやめたくなる人もいるかもしれません。

また、お子さまだけでトレーニングを行ったり、鼻呼吸を習慣化させたりすることは難しいでしょう。本人と保護者の方が二人三脚で進める必要があります。

諦めずに継続するには、お子さま本人だけでなく、家族全員で口育の重要性を理解し、無理のない範囲で、少しずつ習慣化していくことが大切です。

保険が適用されない

口育は、病気やケガの治療ではないため、基本的に保険が適用されません。お口のトレーニングや、マウスピースなどの治療を歯科医院で受ける場合は、費用が高額になる場合があります。

ただし、お口周りの筋肉を鍛えることで免疫力を高めたり、将来的な矯正治療を避けられたりします。長期的にみると、医療費の負担の軽減につながるケースもあるでしょう。

口育だけでは改善できない問題もある

アデノイド肥大、舌小帯短縮症など、すでに明らかな問題がある場合は、口育だけでは改善できないことがあります。歯科医院でみてもらい、必要に応じて歯科や耳鼻咽喉科などでの専門的な治療を受けましょう。

口育は歯医者でできるの?

子どもに口育をする歯科医師

口育は、歯科医院で行えます。歯科医院では、以下のようなトレーニングやアドバイスが可能です。

  • 口腔機能の評価
  • 舌や口腔周囲筋のトレーニング
  • 呼吸や舌の位置に関するアドバイス
  • マウスピースなどの装置の使用

口がいつも開いている、滑舌が悪い、食べるのが遅いなど、お子さまのお口周りに気になる症状がある場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。

まとめ

笑顔の母娘

口育は、子どもの口腔機能を正しく育て、全身の成長を促す大切な取り組みです。鼻呼吸、正しい舌の位置、適切な咀嚼習慣を身につけることで、歯並びや噛み合わせの改善だけでなく、睡眠の質や姿勢、集中力など、さまざまな面で良い効果が期待できます。

口育は乳児期から始めることが理想的ですが、何歳から始めても遅すぎることはありません。口育について不安や疑問がある場合は、歯科医院で相談できます。専門家の指導を受けながら、お子さまに合った方法で口育を実践し、成長をサポートしましょう。

口育を検討されている方は、松山市小栗の歯医者「小栗歯科」にお気軽にご相談ください。

当院は、地域密着型の歯科医院として、松山市の地域虫歯0を目指して患者様に常に向き合った治療を心がけています。予防歯科や矯正治療・小児矯正に力を入れながら、一般歯科やホワイトニング、インプラント治療などにも対応しています。

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