子どもの虫歯を予防するためにはどうしたらいい?具体的な予防法
2025.06.28
こんにちは。松山市小栗の歯医者「小栗歯科」です。
子どもの虫歯予防は、多くの保護者の方が気になるテーマの一つです。乳歯は永久歯よりも柔らかく、虫歯になりやすいといわれていますが、なぜ虫歯ができるのか、その仕組みを知っている方は多くないでしょう。
虫歯は単に甘いものを食べるだけでできるわけではなく、口の中で起こるさまざまなプロセスが関係していると考えられています。
お子さまの歯を守るためには、虫歯のメカニズムを理解することがとても大切です。この記事では、子どもの虫歯について網羅的に解説をしていきますので、ぜひ参考にしてください。
虫歯のメカニズム
子どもの虫歯予防を考えるうえで、まず虫歯がどのように発生するのか、そのメカニズムを理解することが重要です。
虫歯は単に「甘いものを食べるとできる」といった単純なものではありません。口腔内の細菌や食生活、唾液の働きなど、さまざまな要因が複雑に関与することで虫歯になります。
ここでは、虫歯の発生に関わる主なプロセスについて詳しく解説します。
ミュータンス菌と酸産生過程
虫歯の主な原因菌であるミュータンス菌は、糖を栄養源として酸を生成します。この酸が歯の表面を徐々に溶かし始めることで虫歯が進行します。
特に子どもの場合、歯のエナメル質が永久歯よりも薄く、酸の影響を受けやすいため、早期から予防することが大切です。
歯垢の形成と脱灰・再石灰化
食後、歯の表面に付着する歯垢(プラーク)は、細菌の塊です。歯垢中の細菌が糖を分解して酸を作り出すと、歯の表面からカルシウムやリンが溶け出す脱灰が始まります。
一方、唾液の働きによって溶け出したミネラル成分が歯に戻る再石灰化も起こりますが、脱灰が再石灰化を上回ると虫歯が進行します。
歯垢をしっかり除去する正しい歯磨きや、デンタルフロスの活用が予防に有効です。
食事回数・糖質摂取と酸性時間
食事や間食の回数が多いと、口腔内が酸性に傾く時間が長くなり、虫歯リスクが高まります。特に糖質を頻繁に摂取すると、ミュータンス菌による酸産生が繰り返され、歯の脱灰が進みやすくなります。
食事やおやつの時間を規則正しくし、だらだら食べを避けることが重要です。
子どもが虫歯になりやすいのはどうして?
ここでは、子どもが虫歯になりやすい理由について、科学的な根拠とともに詳しく解説します。
乳歯の構造的弱さとエナメル質の薄さ
乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く、構造的に虫歯菌の出す酸に弱い特徴があります。エナメル質は歯の表面を覆う硬い組織ですが、乳歯の場合はその厚さが永久歯の半分程度しかありません。
そのため、虫歯が発生すると短期間で進行しやすいというわけです。
おやつ・ジュース習慣と間食頻度
子どもは甘いおやつやジュースを好む傾向があり、間食の回数が多いと口腔内が酸性の状態になりやすくなります。酸性環境が長く続くと、歯の表面のミネラルが溶け出し、虫歯のリスクが高まります。
間食は時間と回数を決め、食後は水やお茶で口をすすぐことが予防につながります。食生活の見直しや、砂糖の摂取量を意識することも大切です。
仕上げ磨き不足とブラッシング技術
子ども自身の歯磨きだけでは、十分にプラーク(歯垢)を落とすことが難しい場合があります。特に奥歯や歯と歯の間は磨き残しが多く、虫歯の温床となりやすい部位です。
保護者による仕上げ磨きは、小学校低学年まで継続したほうがよいとされています。歯科医院では、正しいブラッシング方法やデンタルフロスの使い方について、歯科医師や歯科衛生士から直接指導を受けることも可能です。
子どもの虫歯を予防するために歯科医院で行う処置
ここでは、歯科医院で実施される主な虫歯予防処置について詳しく解説します。
フッ素塗布の目的と適切な頻度
フッ素塗布は、歯の表面を強化し、虫歯菌が出す酸によって歯が溶ける脱灰を抑制するために行われます。フッ素は歯の再石灰化を促進し、初期虫歯の進行を防ぐ働きがあるとされています。
塗布の頻度は、基本的に3〜6か月ごとが推奨されますが、虫歯リスクや生活習慣によって個別に調整されることもあるでしょう。
シーラントで溝を封鎖して守る方法
シーラントは、奥歯の噛み合わせ部分にある深い溝を歯科用の樹脂で封鎖する処置です。奥歯の溝は歯ブラシが届きにくく、食べかすや細菌が残りやすいため、虫歯の発生リスクが高い部位です。
シーラントにより物理的に溝を埋めることで、食べかすや細菌の侵入を防ぐ効果が期待できます。
定期検診・PMTCによるリスク管理
定期検診では、虫歯の早期発見や歯並び、噛み合わせのチェックが行われます。PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)は、歯科衛生士が専用器具で歯垢やバイオフィルムを徹底的に除去する専門的なクリーニングです。
家庭での歯磨きでは落としきれない汚れが除去され、虫歯や歯肉炎のリスク低減につながります。
子どもの虫歯を予防するために自宅でできること
ここでは、年齢や成長段階に応じた歯磨きのコツ、食事やおやつの選び方、フッ素やキシリトールの活用法について、具体的かつ実践的に解説します。
年齢別ブラッシングと仕上げ磨きのコツ
子どもの歯磨きは、年齢や発達段階に合わせて方法を変えることが大切です。乳幼児期は自分で十分に磨けないため、保護者による仕上げ磨きが不可欠です。
特に、歯と歯の間や奥歯の溝は虫歯が発生しやすい部位であるため、歯ブラシの毛先をしっかり当てて小刻みに動かすと良いでしょう。
仕上げ磨きの際、子どもが痛がる場合は力を入れすぎていないか確認し、歯科衛生士に磨き方を相談するのも良いでしょう。
食事・おやつタイミングと選び方
虫歯は、口腔内の細菌が糖分を分解して酸を作り、歯を溶かすことで発生します。食事やおやつの回数が多いと、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、虫歯リスクが高まります。
おやつは時間と量を決め、だらだら食べを避けることが大切です。また、糖分の少ないおやつや、噛みごたえのある野菜やチーズなどを選ぶことで、唾液の分泌を促し、虫歯予防に役立ちます。食後はできるだけ早く歯磨きを行うことが効果的です。
フッ素入り歯磨剤・キシリトール利用のポイント
フッ素は歯の再石灰化を促進し、虫歯菌が作る酸に対する歯の抵抗力を高める働きがあります。子ども用のフッ素入り歯磨剤を年齢に応じた量で使用することが推奨されています。
また、キシリトールは虫歯菌の活動を抑える効果があるとされており、シュガーレスタイプのキシリトール入りガムやタブレットを活用するのも一つの方法です。
初めて使う場合や適切な量については、歯科医院で相談し、歯科衛生士や専門医に具体的なアドバイスを求めると良いでしょう。
虫歯になってしまった場合の治療とフォローアップ
子どもの虫歯は、虫歯の進行が早い傾向にあるため早期発見と適切な治療、そして治療後の継続的なケアがとても重要です。ここでは、虫歯になってしまった場合の対処法について解説します。
乳歯の虫歯治療の特徴
乳歯の虫歯治療では、歯をできるだけ保存することが重視されます。乳歯は永久歯が生えるためのスペース確保や咀嚼機能を維持するために必要であるため、早期の抜歯は避ける傾向があります。
小さな虫歯であればCR(コンポジットレジン)充填、進行している場合は根管治療や、やむを得ず抜歯となることもあります。
治療法の選択は虫歯の進行度やお子さまの年齢、協力度によって異なるため、歯科医師に「どの治療法が適しているか」「永久歯への影響はないか」など具体的に質問すると良いでしょう。
治療後の再発予防とメンテナンス
治療後も虫歯の再発リスクは残るため、毎日のセルフケアと定期的な受診が不可欠です。正しい歯磨き方法やデンタルフロスの使い方、食生活の見直しなど、自宅でできる予防策を歯科衛生士から直接指導してもらうことが効果的です。
加えて、フッ素塗布やシーラントといった予防処置も有効とされています。
治療に伴う痛みと不安への対応
子どもは治療時の痛みや器具への恐怖心を抱きやすいため、歯科医院では痛みの少ない治療や、子どもに配慮した説明・対応が行われています。
治療前に「どんな治療をするのか」「痛みはどの程度か」など、分かりやすく説明してもらうことで、お子さまの不安軽減につながります。
まとめ
乳歯は歯の質が弱く、また子どもは甘いものを好む傾向があるため虫歯になりやすいとされています。虫歯予防には、歯科医院での定期的なフッ素塗布やシーラント処置が有効です。
そのほかにも、自宅での毎日の丁寧な歯磨きや間食の時間を決めることも大切です。万が一虫歯になった場合は、早めに治療を受け、虫歯の重症化を回避しましょう。
子どもの歯を守るためには、専門家のアドバイスを受けながら、家庭と歯科医院の両方で予防に取り組むことが勧められます。
小児歯科治療を検討されている方は、松山市小栗の歯医者「小栗歯科」にお気軽にご相談ください。
当院は、地域密着型の歯科医院として、松山市の地域虫歯0を目指して患者様に常に向き合った治療を心がけています。予防歯科や矯正治療・小児矯正に力を入れながら、一般歯科やホワイトニング、インプラント治療などにも対応しています。